26歳、初めてテレビを持つ

テレビ 日記

一人暮らしを始めて8年。私の部屋にはずっと、あるはずのものがない。テレビだ。
「成長こそがすべて」——そんな強迫観念にも似た情熱で、テレビを見る時間は「生産性のない無駄な時間」だと切り捨ててきた。

しかし、最近その価値観に変化が訪れた。きっかけは、年末年始の帰省で家族と見たテレビだ。金曜ロードショーの『千と千尋の神隠し』や、他愛もないバラエティ番組。そこには、SNSの短い動画では味わえない、ゆったりと流れる豊かな時間があった。

「成長も大事だが、もっと人生を楽しんでもいいのではないか」

そう思い立ち、26歳にして初めて自分の部屋にテレビを迎えることにした。
届いたばかりのテレビを、期待に胸を膨らませて接続する。初期設定を終えると、画面には高校サッカー選手権の決勝(神村学園 vs 鹿島学園 )が映し出された。スマホでは見ることのない中継映像。その瞬間、「ああ、自分は今、テレビがある生活を始めたんだ」という実感が、じわじわと胸に広がった。

同じタイミングで、もう一つ新しいものが届いた。シャワーヘッドだ。ユニットバスの不便さを解消するための相棒だ。 カーテン越しに手を伸ばして蛇口を捻る手間を省くために「手元スイッチ」付きを選んだのだが、いざ設置してみると角度が合わず、顔面にお湯が直撃するという小さなハプニングに見舞われている。

少しの不便も含めて、8年の一人暮らしを経て始まった新しい日常。生産性だけを追い求めてきた部屋に、テレビという「無駄」が加わった。でも今は、それが豊かさなのだと思える。

コメント

タイトルとURLをコピーしました